急激に増えた難民に関する問題はスウェーデンでもどんどん大きくなっているようで、治安やパラレル社会、就職率の悪さなど新聞やニュースでもいろいろ取り上げられていて、移民として移住してきた私にとっても、いろんなことを考えさせられる話ばかりです。
他のヨーロッパ諸国と同じく残念ながら「純スウェーデン人」との格差や溝は深まっているよう。スウェーデンでは移民への否定的な意見を公に口にすることはタブーで、「人種差別」と言われるので、移民・難民への不満を口にしない人も多かったけど、最近ははっきり言う人も増えてきたようです。 本当に戦地の悲惨な状況から逃げ出したいためだけに逃げてきたなら、最初に入国したEUの国で難民申請すべきところを、スウェーデンまで来て難民申請したという人は「スウェーデンの福祉はすごく充実している」「住居もサポートも手厚い」という噂を聞いてわざわざ北の地にやって来た人が多いようで、自立を求めるスウェーデン人の考え方と食い違ってしまうよう。
そして、最近よく聞く問題が、ビザを取得できた人達の住居問題。難民申請した人は、しばらくは移民局の準備する施設に滞在し、ビザがとれるとより環境の整った住居へ移ることになるそう。ただ、スウェーデン人でもアパートを借りるのに5年待ちとかいう状況のこの国で、そんなに住居が準備できるわけがありません。ビザがとれなかった人に帰ってもらうのも難しいけど、とれた人の家を探すのも大変な状況で、ヨーテボリに割り振られた人も1/4はまだ住居が決まらないのだとか。
そんな状況の中、今月から、家の近所にも空き家をコミューンが買い上げて、そこを20人ほどの難民たちの住居にあてるという噂が流れました。そして、「不満を持つスウェーデン人が嫌がらせをするのを防ぐ」という意味も含めて夜8時から朝8時までは警備員がその地域を定期的に見回ることになりました。 もちろん、既に住んでいる人達は大反対。「ハラルフード専門店などがなく、車なしで生活しにくいこの地域に連れてこられても、難民にとっても不自由」という表向きの理由もあるけど、内心は治安の悪化や土地の価値が下がるのを心配している人も多いです。私達も実際、将来子どもができることも考えて治安や住宅バブルが終わっても土地の価値が安定していそうな場所を選んだんですけどね。
もちろんITなどの知識が優れていて、人手不足のスタートアップなどの重要な働き手となっている難民たちも多いのですが、SFIで見ていると毎回遅刻してくるし、途中で授業を抜けたりという人が目立つのも事実。そして、圧倒的に男性が多いのも不安要素です。多くが申請が通りやすい「18歳未満」として登録したものの、実際は年齢を偽っている可能性が高いため、来年3月までには歯や膝関節の検査により実年齢を医学的に判定するのだとか。
ノルウェーの大臣などには「失敗例」と名言されるスウェーデンの移民統合政策。優しさや理想だけでは解決できない問題が身近に迫ってきてもどかしい気分です。お荷物移民とならないために、私にできることといったら、できるだけ早くスウェーデン語を習得し、納税義務を果たすことくらいでしょうか。
0コメント